競売とは

「競売」と書いて「きょうばい」または「けいばい」と読みます。
「競売」とは、住宅ローンが滞った時に、債権者(銀行・保証会社)が裁判所に競売を申し立て、強制的に売却する手続きのことです。住宅を購入し、資金貸付を受ける時から、競売による売却の具体的な流れを次に示します。

競売の流れ

債務者の状況と通知 内容 時期
代位弁済・全額繰上償還請求

裁判所から債務者へ
「競売開始決定通知書」の通知

競売申し立てがされる

代位弁済から1カ月ほど

裁判所から債務者へ
「現況調査のための連絡書」の通知

裁判所が競売を進めるにあたり
執行官と不動産鑑定士が家屋の調査に訪れる
(外内観の写真撮影や間取り図の作成など)

「競売開始決定通知書」の通知が届いてからほどなく

 

現況調査の結果、
落札金額の目安となる評価書が完成する

 

裁判所から債務者へ
期間入札の「通知書」の通知

入札期間・開札期日・売却基準価格など、
具体的な競売の内容を記した通知

現況調査から1カ月ほど

 

裁判所から期間入札の公告がされる
評価書もインターネットで公開される

期間入札の「通知書」の通知が届いてから1カ月ほど

任意売却はここまでに
手続き完了させる必要があります

期間入札
1週間の入札期間を経て開札

公告から2週間程度で入札開始

開札期日
開札前日まで取下可能

期間入札開始から1週間後

落札者へ所有権移転
明渡請求により自宅の引渡

売却許可決定
落札者が支払いを行い、
債権者はその代金より債権回収

開札期日から約13日後、その後代金支払い等約1カ月

引渡に応じない時(不法占拠者となる)は、新所有者(落札者)は裁判所へ引渡命令を申し立てます。
10日前後で引渡命令が確定し強制執行の手続きへと進みます。その後約1カ月で強制執行の断行日となります。

 

競売のデメリット

 

競売のデメリット<目次>
市場価格より大幅に安く落札されることが多い
引越費用が出ず、再出発への希望が持ちにくい
自己破産でない限り、残債務の支払いは続き、額も多い
競売公告や調査で事情が周りに知られてしまう
債権者との話し合いがもたれず、意思が汲まれることがない
落札後に時間的余裕もなく立ち退きを迫られる

市場価格より大幅に安く落札されることが多い

市場価格に近い価格で売る任意売却(任売)と違い、競売では最初の設定価格が市場価格よりかなり低めです。
それでも売れない場合、値段を下げ続けるため、結果的にほとんどの物件が大幅な安値で売却されます。

引越費用が出ず、再出発への希望が持ちにくい

任意売却では、債権者との交渉によりほとんどの場合引越費用が出ます。住宅を失っても新しい住まいに移れるなら、また気持ちを切り替えて頑張ろうという気にもなれますね。

しかし、競売では引越費用は出ません。落札されたら直ちに立退を迫られることも多く、立退料などは出ません。移転に関する費用は、全て自分で用意しなくてはなりません。

自己破産でない限り、残債務の支払いは続き、額も多い

売却後も住宅ローンの支払いは残ります。これを「残債(残債務)」と呼びます。自己破産でない限り、任意売却でも競売でも残債はありますが、その額は大きく変わります。

任意売却では一般市場に近い高値を目指して販売活動をするために、残債をかなり減らせます。また、債権者との話し合いにより、残債の分割払いを無理なく返済できるようにしてもらえます。しかし、競売では物件が安値で売られるため、残債が大きくなってしまいます。

競売公告や調査で事情が周りに知られてしまう

競売のためには、物件を評価し、価値を決める必要があります。そこで、競売前には「現況調査」が行われます。裁判所の執行官と不動産鑑定士が、二人一組で現地を訪問し、物件の状況を詳しく調査します。

具体的には、測量や写真撮影、所有者への質問などを行います。

その後、競売公告に掲載され、インターネット上で誰でも簡単に見ることができるようになります。大体の住所(地番は除く)や物件の写真(外観・内観)など詳細な情報が掲載されます。その内容から、競売に出ている事実が近所や知り合いなど周囲に知られてしまいます。

債権者との話し合いがもたれず、意思が汲まれることがない

任意売却では、債権者(相談者様)・債務者(銀行・保証会社)両方にメリットがあるように、専門業者が仲介し、良好な関係の中で話し合いがもたれます。
任意売却は競売にならないうちに売却するので、売れれば引越時期が競売よりも早まるのは当然です。
ただし、その中でも引越時期の希望を出し、買主と相談することは可能です。

しかし、競売では、債権者との話し合いはもたれず、所有者の意思が尊重されることはありません。

落札後に時間的余裕もなく立ち退きを迫られる

落札後は時間的余裕もなく、立退を迫られることになります。
過去には、何がなんでも住み続けたいあまり“居座り”をする例がありましたが、最近では執行官立ち合いで強制執行されることが多いようです。

競売開始後の生活

競売の場合、競売申し立てが行われてすぐに立ち退くわけではないので、実際には落札されるまでは住み続けられます。
しかし、上記でも述べたように、その間にも裁判所の執行官と不動産鑑定士が物件を調査しに訪れます。事前に郵便で連絡があるものの、この時裁判所は所有者の意思に関係なく、強制的に室内を調べる権限を持っているのです。
債務者が鍵を閉めて対応を拒否しようとしても、執行官は解錠して調査することができます。

その後およそ1カ月で入札を連絡(最低入札価格と入札期間)する通知書が届きます。
金融機関によっては、入札が始まると任意売却に応じてもらえないこともよくあります。 

競売の通知が来た後の対処法

   

競売開始決定を知らせる通知は、正式には「担保不動産競売開始決定通知」 と呼ばれます。
「債権者が裁判所に担保の不動産を競売にかけることを申し立て、裁判所にそれが受理され競売手続きが開始された」ということを知らせる書類です。
この通知書が届くと居座りも不可能で、所有者の意思に関係なく事が運びます。何より失ってつらいのは自宅など物件だけでなく、自由意志や尊厳という形のないものではないでしょうか。

任意売却は、そうした所有者様の自由意志や尊厳を守るための最後の砦(とりで)です。
「担保不動産競売開始決定通知」の通知が届いたら、なるべく早めにご相談ください。
遅延損害金のこともあるため、ご相談が早ければ早いほど、メリットがあります。

なお、競売申し立てが行われた後の対処法として考えられるのは、任意売却(任売)も含めたいずれかの手段しかありません。
1.全額一括返済する
2.任意売却にする

代位弁済とは < 前のページ